鬼怒川を行く
今日は鬼怒川の被災地を見た。





堤外側の浸食部を見ると、砂だった。その上に粘土・シルト層が1m位載っている。

これも堤外側。川の水が引いた後に堤内側からの逆浸透でパイピングし、上のシルト層の板が崩落した跡。

この堤防の基盤の構造は、堤防調査委員会の資料などに掲載されている。
川の氾濫原は草が一旦倒れたりして見通しが良くなっている。

氾濫側の地盤の盛土・復旧工事。

落堀に見えるが、局所に掘れている部分は浸透現象と関係している可能性がある。




左に見える家は、流された2階部分。

この家は、流されなかった、今や有名な家である。

この土地は自然堤防の上にあり、左の内陸側に向かって徐々に低くなっている。

自然堤防はもっとわかりやすいはずだが、おそらくこの土地の土砂粒径が小さいため、その勾配も緩いのだと思う。

ーーー 堤防が狭い

天端が3mほどしかなく、勾配もきつい。
向こうの水門のところは完成断面で広く高くなっている。
ーーー 噴砂漏水


ここは漏水地点で、その穴はセメントで埋められていた。
(青いマークの周り)
月の輪工。
こうした地点漏水地点は多数ある。国交省の報告資料にある。
(有識者会議資料 P10)
ーーー 考えられない事態
25.74km付近、若宮戸地先の越水、つまりはソーラーパネルのあの現場に行った。明らかに自然な堤防(砂丘)のつながっている区間を切った開発行為である。


すでに業者は、その再建を始めている。

国交省のまとめたこちらの資料、P18-23に掲載がある。
これに経過が書いてある。
この掘削を始めた昨年の春の時点で、地域の住民が市と国交省に堤防が切られていると訴えている。しかし、この実質的な堤防の場所は河川区域には指定されておらず、手が出せないということで、結局、この土嚢をその敷地の川側に「国交省が」設置することで決着した。
今回の出水の水位には足りず越水した。この掘削がなくとも越水はまぬがれなかったが、高さの分布から、壊れなければ、今回よりははるかに小さかったの明らかな状況である。
納得できないのは、以下の点。
・この業者が自爆的に堤防を切り欠いた自律性と人間性と社会性の欠如。(法人格を認めるに値しない。これは、自爆テロを同じことである。)
・この業者が、さらに自爆的に再建しようとしていること。
・このような状況が生まれることが、法的にありうる状況。
(法治国家ではなく、人治国家であればすぐに訂正できる事態である。本当にバカバカしいことである。)
・国交省がこの業者の資料の上で社名を公表していないこと。
・国交省は、昭和41年頃に河川区域を設定した時に、なぜこのエリアが入っていないのか、ということ。
・国交省は、その後河川区域・保全区域の指定の改善をしなかったのかということ。
・そもそも、この地区の堤防のラインをどのように設定しようとしていたのかが、明確ではないこと。
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